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「プロダクトデザイン」って何? 新入社員が聞いてみた|SmartHRオープン社内報

おつかれさまです! 2021年1月に入社しましたカスタマーサクセスグループのあおいっち(@aoicchiです。
まだ直接お話したことのない方ばかりですが、これから一緒にお仕事できるのが楽しみです。よろしくお願いします。

今回、ご縁があり、プロダクトデザイングループで VPoPD(VP of Product Design)のおうじ(@ouji)さんにプロダクトデザインについてインタビューする機会をいただきました!

実は入社前から「プロダクトデザイン」に興味があったのですが、その実態はよく理解できていませんでした。「プロダクトデザイン」とは何なのか、SmartHRでのプロダクトデザイングループはどんなことを目標にしているのかを直接教えていただこうと思います。

プロダクトデザインって何?

aoicchi:oujiさんはじめまして! 今日はよろしくお願いします。入社前からプロダクトデザインの仕事を知りたいと思っていたので、とても嬉しいです。

ouji:こちらこそよろしくお願いします。「社内でプロダクトデザイングループが何をしているかよくわからない」という課題があがっていましたので、いいきっかけになればと思います。

インタビュイーとインタビュワーの写真

▲左:あおいっち(カスタマーサクセス)、右:おうじ(プロダクトデザイン)

aoicchi:では伺っていきますね。そもそもプロダクトデザインって何ですか?

ouji:めっちゃ真顔で聞いてきますね(笑)。

aoicchi:緊張しているので(笑)。

ouji:プロダクトデザインとは、その名のとおり、「プロダクトのデザイン」です。SmartHRでいうとウェブのアプリケーションがプロダクトにあたりますが、このデジタルプロダクトの “デザイン行為” をプロダクトデザインと呼んでいます。

「デザイン」という言葉は説明が難しいですね。世間一般でイメージされる「デザイン」は、絵を描くとか、色を塗るとか、そういうイメージがありますよね。

aoicchi:はい。パッケージやウェブサイトなどの見た目をキレイに整えるイメージがあります。

ouji:僕らプロダクトデザイナーが捉えているデザインは、それだけじゃないんですよね。物事の順序を見直したり、親子関係を整えたり、「情報を整理すること」もデザインと呼んでいます。

人事労務業務の入社手続きに例えると、まずは担当者の行動を情報として分解します。入社者の人数を確認し、入社書類を準備して、内定者に送付する……という業務がありますよね。その一つひとつの業務やアクションをどういった画面で提供したらいいのかを整理し、画面にまで落とし込むのが僕たちの仕事に近いです。

いきなり難しいですよね、すみません。

aoicchi:いえ、大丈夫です!

おうじさんの写真

ouji:元々、プロダクトデザインは、家電製品や家具など、いわゆる工場で生産されるもののデザインのことを指していたんです。時代が進み、デジタルプロダクトが市場に増えるなかで、デジタルプロダクトのデザインも「プロダクトデザイン」と呼ばれるようになりました。

aoicchi:なるほど。元々は物理的なプロダクトのための概念だったのが、インターネットが広まり、デジタルプロダクトなどにも適用されるようになったんですね。

ouji:そうですね。どんな順番でクリックしていけばお客様が簡単にやりたいことを完了できるか、お客様の業務を理解し、それをウェブブラウザ上などで表現するにはどうしたらいいかを考える行為が、デジタルプロダクトにおけるプロダクトデザインではないかと思います。

よいプロダクトデザインとは?

aoicchi:プロダクトデザインについてはなんとなく理解できたんですが、よいプロダクトデザインってどういうものなんでしょうか?

ouji:使う人が満足したり、業務効率化につながったりと、お客様の経済的繁栄が達成できれば成功ですので、プロダクトデザインそのもので良し悪しは決まりません。特に業務で使われるアプリなどは「デザインがいいね」という理由だけでよい評価はされないですよね。

僕たちが目指す「いいね」という状態は、先ほども話しましたがお客様が成功につながることです。例えば業務効率化でできた時間で新しい施策が打てるようになるとか、もう少しクリエイティブなことができるようになるとか、そういう時間を提供できれば成功かなと思います。

aoicchi:プロダクトデザインそのもので価値が分かるのではなく、実際に使ってもらい、価値を感じてもらえて初めて「よいデザインだね」と評価されるんですね。

ouji:そうですね。

あおいっちさんの写真

aoicchi:SmartHRのプロダクトデザインやコンセプトってどのようなものがあるのですか? デザインを決めるときの「決定打」みたいなものはあるのでしょうか?

ouji:SmartHR Design Systemというドキュメントにデザインルールを記載しています。プロダクトデザイングループとして色をガラッと変えたり、新しい装飾をつくったりすることはほとんどありません。

デザインを決める決定打は、お客様が使いやすいかどうかです。その視点をもとに、どの順番、大きさでパーツを置き、どのような画面構成にするかをすり合わせています。その選定基準を一定のクオリティに保つために「SmartHR Design System」があるという感じでしょうか。

みなさんが想像されるようなクリエイティブな仕事はしていないんです。セオリーやお客様のユースケースと突き合わせて、「なぜここにこのボタンがあるのか」をとにかく理詰めで考え、すべて説明がつくようにしています。

SmartHR Design Systemの画像

SmartHR Design System

aoicchi:プロダクトデザイナーじゃない人はデザインに対してとてもクリエイティブなイメージを持っていると思いますが、思ったより論理的に進められているんですね。

ouji:そうですね。「こっちのほうがいい感じに見える」みたいな判断はしないですね。

「使いやすいプロダクト」ってどういう状態?

aoicchi:では、「使いやすいプロダクト」って、結局どのような状態のことを指しているのでしょうか?

ouji:学習するコストが低い状態のことだと考えています。人は何か新しいものに触れるとき、過去の経験や知識から使い方を想像します。

製品の中で出てくる画面やインタラクションを、なるべく世の一般的なアプリケーションへの期待値を裏切らないように提供し、また、製品の中でも反復されるルールとして再現することでお客様の学習コストを下げることができます。

簡単にいうと、珍しいものを作らないようにするということでしょうか。

インタビュイーとインタビュワーの写真

aoicchi:難しいですね……。その「使いやすいプロダクト」はどうやって作っているのですか? お客様の期待値をどう把握されているのでしょうか?

ouji:みなさんが普段使っているAppleやGoogleなどの会社が出しているアプリなど、日常生活に溶け込んでいるインターフェースのガイドラインを大きく裏切らないようにしています。

SmartHRの使いやすさとは?

aoicchi:ありがとうございます。では、「SmartHRの使いやすさ」は具体的にどのようなところで表現されているんですか?

ouji:プロダクトデザイングループの仕事が、直接お客様の使いやすさにつながるのは稀だと思います。ウェブブラウザ上で年末調整や入退社手続きができるということそのものが「使いやすい」に貢献しているので。

プロダクトデザイングループの仕事は、「使えて当然だよね」というものをきちんと作ることです。それも普通に難しいんですけど、「SmartHRが使いやすい」という評判には直接的には関わっておらず、むしろ解約やクレーム防止に効いているのではないかと思います。

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▲SmartHR UI のコード画面

aoicchi:下支えしているという感じなんですね。

ouji:そうです。

aoicchi:聞けば聞くほど、プロダクトデザインはコツコツと進めていくものなんだとわかります。

ouji:そうですね。即効性があるものでもなく、人の気持ちを大きく動かすものでもなく、黒子みたいな仕事ですね。

プロダクトデザインのゴール

aoicchi:oujiさんが考える、プロダクトデザインのゴールって何でしょうか?

ouji:ゴールはないですね。利用する顧客層や関連する法制度など、製品を取り巻く環境は変化し続けるので、常に改善を続けていくべきだと考えています。

見える範囲で答えを出さず、多様な考えを受け入れ、変化し続けるコンテキストに目を向け、人が欲しいと思う本質的なものを作り続けることが必要です。

でも、ゴールがあるとしたら、デザイナーがいなくなることですかね。

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aoicchi:デザイナーがいなくなることがゴール?

ouji:そうですね。プロダクトデザインのガイドラインを設け、開発グループの中で判断できれば特に僕たちは必要ないんです。実際に取り組み始めていますが、デザインが全社に浸透し、デザイナー以外がデザインできる状態になるのが理想です。

oujiさんが目指すプロダクトデザイングループの理想の組織

aoicchi:みんながデザインを学び、同じ目線でプロダクトを作れるようになるのはすごくいいですね! そのために今oujiさんが目指している理想の組織像があれば聞かせてください。

ouji:短期的には、デザイナーがいなくてもプロダクトデザインの意思決定ができる開発チームを増やすことを目指しています。

プロダクトデザインはデザイナーだけのものではありません。開発チームに所属するエンジニアや PdM(プロダクトマネージャー)もデザインしてよいと思います。むしろみなさんすでにやっていますね。

「専門職」としてのプロダクトデザイナーだけがプロダクトデザインの意思決定権をいつまでも持っていると、素早い機能開発ができなくなります。プロダクトデザイナーの知識を開発ステークホルダーにインプットし、誰もがプロダクトのデザインを決定できる状況を目指さなければなりません。

中長期的には、プロダクトデザイングループがひとつの人格としてすべてのSmartHR製品に貢献していく状態を目指しています。

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▲SmartHR UI 画面

aoicchi:個のスキルを活かした貢献から、チームプレーにしていくようなイメージでしょうか。

ouji:そうですね。デザイナーとしての「個」ではなく、組織としての「個」を高めていきたいですね。

現状、プロダクトデザイングループは7名メンバーがいます。各プロダクトデザイナーがそれぞれ担当の開発製品を持ち、各々の裁量でデザイン業務に関わっています。各プロダクトデザイナーは得意な分野が異なり(UIデザインが得意な人、コーディングが得意な人、リサーチが得意な人、など)、アサインされた担当デザイナーによって発揮される能力が異なってしまっているのが現状です。

将来的には担当制をやめ、すべてのSmartHR製品に等しく全プロダクトデザイナーの能力で貢献することが理想です。

aoicchi:その先に、先ほどお話されていた「デザイナーがいない世界」があるんですね。

ouji:そうですね。

aoicchi:プロダクトデザイングループのことがよく理解できました! ありがとうございます。

ouji:興味があれば会議などに参加してもらってかまいませんので、気軽に聞いてください。

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インタビューを終えて。

ouji さんとお話しするのは今回が初めてだったのですが、一言一言丁寧に言葉を選びながらお話しされる姿がとても印象的でした。強い意思と信念が伝わってきて、その姿勢がきっとSmartHRのプロダクトデザインにも反映されているんだな……と感じました!
私自身のソボクな疑問も解消され、とても勉強になった時間でした。

この記事が、社内外の方々にとってSmartHRのプロダクトデザインをより良く知るきっかけになればとても嬉しいです!

● インタビュイー:おうじ(@ouji
● インタビュアー:あおいっち(@aoicchi
● 執筆・編集:ゆきさん(@yukisan


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