「報酬委員会」設置が、なぜコーポレート・ガバナンス強化につながるのか
こんにちは、CFOの玉木(@tamaki-ryo)です。
本日発表された通り、2022年5月18日付でSmartHR社には報酬委員会という機関が設置されました。
今日はその報酬委員会とは何か?何のために必要なのか?をお知らせするために2年ぶりに社内報にやってまいりました。
報酬委員会って何?
報酬委員会とは、めちゃくちゃ簡単に言うと役員の報酬を決定する機関のことです。
もうちょっと詳しく言うと、会社法という法律上、指名委員会等設置会社という機関設計を選択している会社には設置が義務付けられている機関です。
(ちなみに今のSmartHR社は監査等委員会設置会社なので、今回は法律上の義務によるものではなく任意での設置です)
会社法ではそれ以外にも委員の半数以上を社外取締役とすることなどが定められており、今回SmartHR社で設置した任意の報酬委員会も会社法上の要件に沿った作りにしています。(これは、コーポレートガバナンス・コードという健全な企業統治のためのガイドラインのようなものでも強く求められている要件だったりします)
なぜ報酬委員会が必要なの?
社長や役員の報酬がどう決まっているか知っていますか?
一般的には、人事や取締役会事務局の人たちが多少関わるくらいで、業務的にあまり馴染みのない分野なのではと思います。誰がどうやって決めているのかわからない、ブラックボックス化しがちな領域ですね。
ブラックボックス化しがちであるがゆえに、「ちゃんと評価を反映しているのか?」「自分で自分の報酬決めているんじゃないか?」「自分たちのほしい金額にしているんじゃないか?」などなど、考え出すとキリがないくらい疑わしく思えてきますね。
役員報酬は性質的に、いわゆる"お手盛り"(自分で好きなように食事を盛りつけるという意味から、自分の権限や立場を利用して自分の都合がいいように物事を取り計らうこと)になりやすいものです。なので、その決定には牽制の効く仕組みをしっかり入れる必要があります。その施策のうちの一つが今回の報酬委員会の設置というわけです。
そういった背景もあり、今回の報酬委員会設置においては以下の3点を重視しました。
客観性の高い決定機関・プロセスの構築
妥当性とインセンティブのバランスの取れた水準設定
内外のステークホルダーと利害一致を図るための報酬制度設計
具体的に何をやったのか
2021年8月に準備をスタートしてからやったことをざっくり箇条書きにします。足掛け10ヶ月の長丁場でした。
1. 報酬委員会の準備委員会の立ち上げ
内藤さん(取締役・監査等委員 / @kakipo)、玉木の2名でスタート
カンパニーセクレタリーユニットの齋藤さん(役員報酬コンサル経験者 / @kazuki)が入社とともにジョイン
ニッチかつ専門性の高い分野のため外部のコンサルティング会社にも加わってもらいました
2.役員報酬の基本方針と制度概要の設計
役員に求める責任とその時間軸の考え方
報酬の内容(現金基本報酬・年次賞与・株式報酬など)の考え方、割合
どういった会社を目指すのかという観点でのピアグループの設定
3.独立社外取締役を中心とした報酬委員会の組成
リリースにも記載の通り、この3名の方に委員をお願いすることになりました。それぞれお願いするに至った背景は以下のとおりです。
村上さん(委員長)
グロース投資家・株主としての観点を持ち込んでもらうため。また、コーポレート・ガバナンスに関する幅広い知識や経験をお持ちのため。
武田さん
複数企業での人事責任者としての経験からくる人事戦略や報酬制度に関する豊富な知見をお持ちのため。
芹澤さん
CEOとしての役員陣の執行状況の評価・報酬への反映のため。
なお、芹澤さんはご自身の報酬決定に際しては関与しないこととしています(これもお手盛り防止)。
ちなみに、同じ報酬に関係する業務を行っている人事と報酬委員会との役割分担は次のようになっています。
報酬委員会設置はコーポレート・ガバナンス強化の一貫
コーポレート・ガバナンスを「会社(経営者、社員ら)が自らを律して社内外のステークホルダーとともに持続的に成長していくための仕組み」と定義するなら、この報酬委員会の設置はまさに、経営陣を律して目先の利得ではなく長期的な会社の成長へと向かわせるための重要な体制強化の一つだと考えています。
一般的には上場してより高い社会性や公共性が必要となった会社に求められることではあるのですが、SmartHRはより多くのステークホルダーに支えられ成長していく会社を目指しているため、コーポレート・ガバナンス体制構築ために前のめりでいろいろな取り組みをしてきました。
監査等委員会設置会社へ移行
社外取締役就任に関するお知らせ
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